MAXIRIESの2021年を振り返る

Written by COBA5000

どうも。COBA5000です。2021年の年末、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今年のMAXIRIESの活動を総まとめしてみようということで、NaBTokとオンライン対談(ただのグループ通話)をしたので、その様子を文字でお伝えしようと思います。彼の制作の拠点である京都の様子についても聞きたくて、ついでに本田Qも召喚しました。ぜひ読んでみてください。

COBA5000(以下、C5)「この一年のMAXIRIESのメイン企画が『100 Beats Up Challenge』と称したNaBTokによるビート制作100本ノックだったんだけど、実際にやり終えてみてどう?」

NaBTok(以下、NT)「思った以上に大変だったけど、自分で自分のケツ叩いてやりきった感じかな。もともとは2年前ぐらいに、Youtubeに毎日インストを1曲アップする企画を考えてたんだよね。ただ、年間365曲ともなるとさすがにクオリティを保てないかなと。100曲ならいけるかなと思ってたんだけど、やってみたらけっこう追い詰められた(笑)」

100 Beats Up Challenge No.100
100 Beats Up Challenge No.1

C5「確かに。11月に公開した数が少なかったから、12月はだいぶ追い込まれたね。ところで、一人で100曲作るのって大変だと思うんだけど、その合間にCHAPAH(『MAZE』、『Redo』)とかCOBA5000(『Countless』、『Into Da Swamp』)の作品のプロデュースもしてたわけだよね。他のアーティストにも提供したり、レーベル向けにまとめて数十曲のビートを送ったりもしてたし。そう考えると、この人は今年いったい何曲作ったんだろうって疑問に思ってたんですよ」

NT「200ちょっとかな。ただ、1つのビートを後から別物にリメイクしたものもあるから、実質350ぐらいになるかもしれない」

C5「それ年間365曲いけるやつやん。さらに他のアーティストの作品のミキシングとかマスタリングも請け負ってたし、どんだけ音と向き合ってたんだよっていう」

NT「まぁコロナの影響もあったし、今年はとにかくビートの量産に集中しようって決めてたから」

C5「俺もこの企画の裏では作業してた側なんだけど、やってよかったなと思ったのが、この100ビートのなかからいくつかピックアップされたってところだね。ROOFTOPのA夏目くんが来年2月にリリースする1stアルバムにも入ったし(今そのビートはYoutube上で非公開になってます)」

NT「あとはT.MANGKANG(BLACK MAMBA)のアルバムにも入るし、まだ情報出せないけど他にも使ってくれたアーティストがいて、全部来年リリース予定。この企画をやらなかったら実現しなかったこともあるから、やった価値はあったと思う」

C5「この企画って、もちろん外向けに音楽コンテンツを発表するっていう意味合いもあったけど、それ以上にNaBTokの音の精度を上げていくっていう目的の方が大きかったよね。本当に100本ノックっていうか」

NT「ミキシングの修行目的っていうのが大きくて。Youtube向けの調整も必要だったし、音の出し方の甘さを痛感しながらやってた。ゴールは無いと思ってるし、まだまだ自分で納得できることは少ないんだけど、試行錯誤してきた時間は無駄にならないはず」

C5「あと、公開した100ビートの一部にはラップが乗ってたりするんだけど、この企画に絡んできてくれた京都周辺のラッパーたちがとにかくいいラップするなぁと思って。NaBTokと本田Qが普段利用してるスタジオを中心に何かが起きてる感じもすごいしてるし、そこらへんを聞きたい」

NT「俺が京都に移住してからアツカーンっていうセッションバンドをずっと組んでて、ヒップホップに限らずロックだったりいろんなジャンルの人が混ざり合ってるんだよね。パーカッションとかギターとかベースとか、みんながフリースタイルで自由に楽器を演奏するみたいな。そこにギターとボーカルで入ってたRibeQっていうアーティストがいるんだけど、そのつながりでKxUもセッションとかライブに参加してた。そこからさらにもともと音麻心で活動してたPARYANくんを紹介してもらって」

本田Q(以下、HQ)「それぐらいのタイミングで俺が京都に移住したんだよね。ちょうど一年前ぐらい」

NT「BENCHっていうセレクトショップがあって、俺そこでしか服買ってないんだけど(笑)、そのお店をやってるNZAくんが本田QにJKくんを紹介してくれたんだよね」

HQ「そこからそのスタジオでセッションしようって流れになって、いざ初めてみんなが顔を合わせてみたら、それぞれ実は過去に会ったことがあったりして。大阪のグラフィティライターとかのつながりで」

C5「最高のつながり方だね」

NT「最近もJKくんの紹介で大阪から森羅くんが来てくれて、『せっかく来たんで一曲やりたいっすね』ってなって。ビートもちょうどその日の昼間に作ったやつで、リリックもみんなその場で書いて」

C5「あの曲いいよね。それもそのスタジオで生まれたと」

NT「SOFTっていうバンドがあって、その方々のスタジオだね。京都で音楽をやるうえでは本当に大先輩で、俺らも今とにかく影響を受けてる」

C5「今年は本田QがDJ KENSEIさんとの曲をリリースしたのもビッグニュースだったけど、そのへんの経緯ともつながってくるよね?」

HQ「SOFTのモジュリストのKNDさんっていう方がスタジオを管理してるんだけど、そのKNDさんが本当に人柄とか音楽性とかも含めとにかくキーマンで、DJ KENSEIさんに紹介してもらってからずっとお世話になってる」

NT「本田QはDJ KENSEIさんの存在によってだいぶ飛び級して重要なゾーンでつながりを広げたよね」

C5「京都の輪の中に入るスピード早かったもんなぁ(笑)。それで言うとDJ KENSEIさんのビートでラップするっていうところからすでに飛び級なんだけどね。最初はびっくりしたけど、それも無事にリリースされて」

HQ「嬉しかったね」

C5「たぶんあんまり世の中に伝わってなさそうなのが、その『イデオロギスト』がまず2種類のリミックスから先にリリースされてるっていうのと、あと各リミックスのミキシングにそれぞれ違う方が携わってるっていうところだよね。京都サイドと東京サイドみたいなのが面白いなと思って」

HQ「もちろん両方ともDJ KENSEIさんが中心になってるんだけど、京都の方はKNDさんと、シンセの音を出してくれてるShoichi Murakamiくんっていう鍵盤プレイヤーがミキシングに携わってる。というのも、その3人がKOKENSHOWっていうグループで活動もしてるんだけど、ちょうどそのスタジオ作業をやってるときに俺が顔を出したのが一つのタイミングだったんだよね。3人がかりで一気に手を加えてもらうことになって。後日スタジオに入ったら全然違う音になってて(笑)。前日までオリジナルのミックスを聴いてたからびっくりした」

C5「俺もなんとなくその流れを聞いてたけど、曲の煮詰め方とか、どこに向かうか分からない感じとか、ハンパないなって印象なんだよね」

HQ「音へのアプローチの仕方の勉強になるよね。それは京都で関わってる人たちみんなそうかもしれない。Villageっていうレストランの店長のたっちゃんていう人もそうだし、SOFTの人たちも独自の空間を作ってて」

NT「そうそう。京都は空間作りがうまい人が本当に多いと思う。KNDさんが音で携わってるときわ公園のイルミネーションイベントとかも映像観るとすごくて。空間デザイナーとのセッションみたいな」

HQ「セッションっていう要素についてもだいぶ影響受けてるよね。たぶんNaBTokのビートにもフリースタイル感とかそういうのが反映されてるんじゃないかな」

C5「あと、『イデオロギスト』のMVを撮ったのもいろいろ活躍してる人だよね」

HQ「Toru Kuriharaっていうカメラマンで、日本の絶景と音楽をコラボさせるTHAT IS GOODの映像とかも撮ってる」

C5「最近のZEN RYDAZの映像を撮ったのもそうだよね。あのアルバムに入ってる『KOKORO』っていう曲が俺のなかで今年のベストソングかなっていうぐらい好きなんだけど、やっぱり映像で観るとよりヤバいんすよね。ロケーションも最高だし」

HQ「あの直前にバタバタの状況で『イデオロギスト』を撮ってもらって(笑)。Toru Kuriharaくんは俺らが今活動させてもらってる環境の周辺の映像をいろいろやってくれてて。YoutubeチャンネルのSOFTRIBEの映像もほとんど手がけてる」

NT「若いのに才能の塊だし、とにかく行動的。経歴もすごいんだよね」

C5「遠方から見てても、すごい人たちがそのスタジオの周辺にいるなって。中堅とか若いアーティストにも門戸を開いてる感じもいいよね。なんかこれからさらに化学反応みたいなのが起きてくんじゃないかとひしひしと感じてますよ」

NT「関係ない人が自由に使えるような公なスタジオではないんだけど、だからこそ秘密基地みたいな感じもあっていいよね。大音量で自分のビートをチェックできるっていうのが制作環境としてもすごいありがたいです」

HQ「コンスタントに一緒にスタジオに入ってレコーディングしたりライブの合わせをしてるんだけど、NaBTokは隙あらば自分の曲の鳴りのチェックしてるよね。だからCOBA5000とかCHAPAHの音源はだいたいリリース前に聴けるっていう(笑)」

C5「俺も次のEPの制作をしてるところなんですが、NaBTokの来年の動きは?」

NT「来年は俺のプロデュースで本田QのEPが出るのと、あとはさっきも触れたけど、2月に出るA夏目くんの1stアルバムに1曲提供してるのと、T.MANGKANGのアルバムだね。他にもまだ言えないけどいろいろ決まってるものもある」

C5「あえて聞かないけどCHAPAHとも継続してやるんだろうし、楽しみだな。来年はMAXIRIESの隠し球である九州のDJ EMPK(通称ぷっくん)もアクションを起こすんじゃないかと期待してます。あと関係ないけどとうとうカオスオンパレードも出るからなぁ。いきなりアナログデビューっていう。今年は原島”ど真ん中”宙芳にもだいぶ裏で世話になった。EPを出すときもアドバイスくれたし」

NT「大阪で出演したときに京都に寄ってくれたりもしたな。巻き込んでくれたっていう感じ」

C5「彼もその一人だけど、それほど焦点が当たらない場所にいる我々をところどころでサポートしてくれる方々にはほんとに感謝ですね」

NT「そうだね。Youtubeでの発信も含め、良い音楽をお届けして返していきたいね」

ということで、他にもいろいろと話はしてたんですが、カットしてお送りしました。最後まで読んでくれた方、参加してくれた本田Q、ありがとうございます。来年も地道に活動を続けていきますのでよろしくお願いします。それでは皆様、良いお年を!

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